「おまっ、いきなり何を……!」
「薬師寺がいいって言ったんだろう?」
「お、俺はキスは嫌じゃなかったって言っただけで……っん……っ」
コイツ、なんつーエロい触り方するんだ! 情熱的なキスを繰り返しながら、性的なニュアンスを含んだ指先が柔らかいタッチで俺の太ももの付け根を執拗に撫でさする。
こんな触り方されたら、俺……。
「勃ってきたな」
「う、うるせ! てめぇがいやらしい触り方するからだ!」
身体の変化を指摘され羞恥心で顔がかぁっと熱くなった。そんな俺を見て、嬉しそうに鼻をヒクヒクとさせながら空いている手で頬を撫で、至近距離でジッと俺をみつめる。
「な、なんだよ……っ」
「嫌なのか?」
「……っ」
見たこともないような真剣な表情で訊ねられて言葉に詰まった。そんな事、いきなり聞かれたって困る。
心臓がさっきからバクバク言ってて息をするのが辛い。ごつい指先が柔らかなタッチで唇に触れ、ゆっくりと顎から首筋へのラインをなぞってゆく。
「好きだ、薬師寺」
「わかったから、み、耳元でしゃべんな! バカっ」
息を吹き込みながら囁かれ無意識のうちに体が震えた。
目が合うと直ぐに唇を塞がれ、熱い舌が口腔内を蹂躙する。息ができない位の激しいキスに頭の芯がぼわんとしてされるがままに身体の力が抜けていく。
「ん、ぁっ」
「薬師寺は?」
「――え?」
キスの余韻でぼーっとしていると、俺の額にかかる前髪を掬いながら何か思い出したように眉村の手が頬を撫でた。
「お前は、どう思っているんだ? 俺のこと」
「ど、どうって……」
「俺の気持ちは言った。だから、薬師寺の気持ちが知りたい」
そんな事言われても、困る。
眉村のことを自分がどう思っているのかなんて、考えたことも無かった。
「……っ」
長い長い沈黙。俺の答えを待っている眉村の視線が痛い程突き刺さる。
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