「同じ部屋に居ると、こう言う事をしたくてたまらなくなる。 だからこれ以上お前の側には居られないんだ」
「……っ」
それって、つまり……そう言う対象として俺を見ているって事、だよな……。
どうしよう、俺……キスされたのに、イヤじゃなかった。
それどころか、嫌われて出ていく訳じゃないって事に、内心凄くホッとしてる。
眉村はそっと息を吐くと、再びダンボールに自分の私物を詰め始めた。
「ま、待てよっ……だからって何も出ていく必要ねぇだろ」
「……人の話聞いていたのか?」
「ちゃんと聞いた。でも……それでもいい。行くなよ、無口で無愛想なお前でも居ないとつまんねぇよ」
「お前、意味解って言ってるのか?」
「わかってる」
腕を掴まれて真剣な双眸が俺の姿を映し出す。
「俺は、お前のことが好きだ」
「っ!」
真っ直ぐに見つめながらストレートに言われて、心臓がひときわ大きく跳ね上がった。
好きだから、キスもしたいし、その先のことだってしたいと思ってる。同じ部屋にいたら自制が利かなくなるけどそれでもいいのか? と、訊ねられて冷たい汗が頬を伝う。
そんな事急に言われて、即答出来る訳がない。
眉村の瞳は痛いほど真剣で、とても冗談を言っているような素振りはなさそうだ。(まぁ、元から冗談なんて言うようなやつじゃないが)
「……っわかんねぇ。けど、その……さっきのキスは嫌じゃ、無かった……」
じわじわと顔が熱くなって行くのが自分でもわかった。眉村の顔が恥ずかしすぎて見ることができない。
俺は、一体何を言ってるんだ。こんな言い方したらきっと……。
「薬師寺っ」
「うわっ……んぅっ」
いきなり抱きしめられて貪るように唇を奪われた。さっきは触れるだけだったのに今度はほんの少し開いた隙間から熱い舌が口腔内に滑り込んでくる。
「ん、ん、……んっ! ちょっ何処触って……っ!」
キスの合間に太腿をなで上げられて、ぞくりと背筋を何かが駆ける。慌てて手を引き離そうとするが、その腕を片手で軽々とひとまとめにされてベッドに勢い良く押し倒された。
前/ススム