眉薬 他
LoveSick
そうこうしている間に俺達の番が回って来た。
二人並んで賽銭を入れ、手を合わせて参拝する。
「お参りした後はやっぱりコレだろ?」
眉村が指さしたのはおみくじ。
「好きだな……お前」
渋々同時におみくじを引く。
俺は「吉」大して凄い事が書いてあるわけでもなく、平凡な内容だった。
眉村はと言うと……真剣な表情でくじを読んでいる。
と、思ったらいきなり顔をあげた。
「喜べ薬師寺!」
「あ? 何が?」
「お前は安産だそうだ! 女の子が産まれるらしいぞ!」
ホクホクと嬉しそうにくじを見せる。
「って、産めるか! アホ!!!!」
思わず蹴りをかまし、新年早々あほな事を言い出した眉村を睨みつける。
「全く……相変わらず乱暴な」
「お前がおかしな事を言うからだ!!」
「俺はいつでも真面目だが? こうなったら今年は産めるまで頑張るか!」
するりと腰に腕がまわり身体が密着する。
「んなもん頑張るな! 馬鹿!!」
今年も疲れる一年になりそうだと、新年早々溜息が洩れた。
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