眉薬 他
LoveSick
周囲が一気に騒がしくなった。
カウントが始まり、新年へ一歩一歩近付いてゆく。
「今年は色々あったな」
「あ? なんだよ、急に」
「いや、別に……。俺の今年最大のニュースはお前と付き合う事になった事だと思って」
「!」
グッと腰を引き寄せられ視線が絡む。
いつになく真剣な瞳に吸い込まれそうになる。
「いきなり変な事言うな! 馬鹿!」
つい、顔を背けてしまい頭の上で眉村が微かに笑った気がした。
それとほぼ同時にわあっと歓声が上がり、新年を祝う電飾がきらびやかに光り始める。
「俺だって今年最大のニュースは同じだ……」
「ん? 何か言ったか?」
この周りの騒がしさで俺の呟きは眉村の耳に届かなかったらしい。
「なんでもねぇよ。 あけましておめでとうって、言っただけだ!」
「! ……フッ、そうか……今年もよろしくな」
一瞬面食らった後、確かに眉村はそう言った。
顎を持ち上げられ鼻がくっつきそうな距離で……。
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