……はぁ。
自然に、自分の口からため息が漏れて、俺は苦笑した。
アレから、一週間とちょっと。
最初はそれなりに楽しかった一人部屋も、今じゃ苦痛でしかない。
消灯まで渡嘉敷や米倉とのんきに話して気がまぎれるけど、部屋に戻ると虚しくなる。
なんだかんだ言っても、眉村がいると楽しいんだよな。
あさってには、戻ってくるはずだ。
一人っきりという静寂に耐えかねて、俺は消灯後の薄暗い廊下を歩く。
別に、何の用事も無いけど、まぁ、気分転換のつもりだった。
自販機でコーヒーを買って、部屋に戻ろうとすると渡嘉敷に会った。
「よぉ、お前も眠れないのか?」
「……。あのさぁ、今晩薬師寺のとこに泊めてよ」
「?」
珍しいな。渡嘉敷がそんなこと言うなんて。
まぁ、ちょうど煩いやつもいないし、俺が眉村のベッドで寝ればいいだけの話だから。
俺がOKすると、渡嘉敷が嬉しそうな表情をした。
そのとき、コイツが何を考えてるのかなんて、俺が気づくはずも無かった。
「薬師寺って、好きなやついるの?」
「!?」
部屋に戻って、何気なく談笑していたら、突然そう言われた。
目がマジだから好奇心で利いているわけじゃなさそうだ。
「もしかして眉村だったりして?」
「ばっ、バカ言ってんじゃないっ!! なんで俺が眉村なんかっ!」
上目遣いで覗きながら言われ、顔が熱くなった。
「本当に、眉村のこと好きじゃない?」
「あたり前だ? あーんな、鉄仮面みたいなヤツ好きになるほうがどうかしてるっ」
ハハッと乾いた笑いをする自分に虚しさを覚えていると、あからさまに渡嘉敷がホッとした顔をした。
あ、れれ?
なんで、そんな顔するんだ?
疑問に思っていると、ベッドに座る俺の横に、渡嘉敷は座りなおす。
ってか、めっちゃ近いんだが!
「俺さぁ、前から薬師寺が好きだったんだよね」
「は?」
はいぃぃぃ!?
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