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「なぁ、寿也……。ちょっといいか?」
僕が勉強をしていると、突然吾郎君が声を掛けてきた。
その珍しく真剣な声色に、何か大切な用事があるんだろうと思いシャーペンを置く。
「どうしたのさ、改まって」
「いや、今夜の予定、空いてるかどうか聞きたくてさ」
鼻の下を擦りながら照れくさそうに笑う。
今夜の予定って……、何でわざわざそんな事を……。
ちらりとカレンダーに目をやって、ピンと来た。
今日は9月8日。
明日は僕の誕生日だ。
「……今夜は何も無いよ」
「そっか、じゃぁちょっと出かけようぜ!」
一緒に行きたい場所があるんだ。
と、吾郎君。
一体何処に連れて行ってくれるんだろう。
聞いてみたかったけど、敢えて聞かないことにした。
君と二人で過ごせるだけで、僕は十分幸せなんだけどね。
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