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ある日大河は吾郎と一緒にスポーツ用品店に出かけていた。
新しいグローブを買いに来たのだ。
新しいグローブを購入し歩いていくと吾郎の足が一軒の骨董品屋の前で立ち止まった。
「どうかしたんっすか先輩?」
「実はさ、俺が海堂にいた頃ここで変なランプ見つけちまってよぉ」
「ランプ?」
吾郎の言葉に大河は首をかしげた。ふとその視線の先に黒いランプを発見する。
「そのランプってこの黒いヤツのことですか?」
それを、ひょいと持ち上げて吾郎に見せる。
「なんで、ランプが黒だって知ってんだよ?」
不思議そうに尋ねてくる吾郎に大河は首を傾げた。
「なにいってんすか。ここにあるじゃないですか」
「どこだよ、何にもねえぞ?」
全く見当違いな場所を探す彼に、大河はさすがに何かおかしいことに気が付いた。
(もしかして、コレ先輩には見えてないんじゃ……)
けれど、確かめなくては気がすまない。
大河は思い切って、持っている黒いランプを振りかぶって吾郎めがけて投げようとした。
だが――。
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