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「あのさぁ、前から思ってたんだけど……聞いてもいい?」
「あんだよ、改まって」
ベッドで寿也の腕を枕代わりにしながら、吾郎は急に真剣な表情になった彼を覗き込んだ。
寿也はジッと彼の顔を見つめ、ゆっくりと息を吐く。
「あんだよ俺の顔、じっと見て」
そんなに見つめられると照れるじゃねぇか。
穴が開くほど見つめられ、急に恥ずかしくなった吾郎はふいっと寿也に背を向けた。
「もう、照れることないじゃないか。ねぇ、こっち向きなよ」
「ヤだ」
「吾郎君ってば」
「うっせぇな、そんな耳元ででけぇ声ださなくっても、聞こえてるっつーの」
チョンチョンとちょっかいを出され、吾郎は堪らず眉をしかめた。
「聞こえてるんならちゃんと顔見せてよ」
「ヤだよ」
見られると思うと余計に恥ずかしくなって、吾郎はますます彼に顔を見せれなくなった。
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