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うーん、どうすっかなぁ、コレ」

夕方の練習が終わり、吾郎は机に突っ伏して頭を悩ませていた。

手には二枚のチケットを持っている。

「なに、唸ってるのさ」

遅れて部屋に戻ってきた寿也がひょっこりと顔を覗かせる。

「実は、新しいスパイク買いに行ったらよぉ、なんか知んねぇけど店のおじさんからこのチケット貰っちまったんだよ」

「これってシーパラダイスの入場券じゃないか!」

吾郎からそれを受け取ってマジマジと見ると有効期限があさってで切れそうだった。

「いいんじゃない? 行こうよ折角なんだしさ」

「いや、行くのは構わねぇんだけどそれ一枚で二人は入れるんだよ。もったいねぇだろ?」

そう言われ、裏面を見てみると確かに二名まで無料と書いてある。

「だったら、眉村たち誘おうよ」

「あ、そっか。その手があったか!」

寿也の言葉に、吾郎はスクッと立ち上がって、チケットを一枚取ると眉村の部屋へと急いだ。

応対に出た眉村は、吾郎の急な誘いに驚いていたが、すぐにOKしてくれた。

待ち合わせの時間を決めて、部屋のドアを閉じる。

「今の茂野だろ? どうしたんだよ?」

「今度の日曜、空けとけ」

「はぁ? ってか、俺の質問に答えろ」

相変わらずマイペースな物言いに薬師寺は呆れ顔になった。

「お前、いつも突然だから、こっちは結構苦労してんだぞ」

「そうか、すまない。実は、茂野たちと遊園地でWデートすることになったんだ」

「は? はぁっ?」

眉村の言葉に、薬師寺は目を丸くした。

「ゆ、遊園地って野郎ががん首揃えて行くとこじゃねぇだろ」

遊園地なんか中学の時に当時付き合ってた彼女と行って以来だ。

「まぁ、いいじゃないか。タダで行けるんだから」

そう言って表情がほんの少し柔らかくなった彼を見て、なんだかくすぐったい気持ちになる。

「仕方ねぇ。空けといてやるよ」

ゆるく息を吐きながら彼は肩をすくめた。


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