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「暑っちーな」
吾郎は真夏の太陽を睨みつけながら、メインストリートを歩いていた。
本当は、街まで買い物にでも行こうかと思っていたが、この暑さではそんな気分もすっかり萎えてしまう。
「やっぱ、帰って大人しく部屋にいるかな」
くるっと踵を返し、来た道を戻ろうとして、突然パッパーと、大きなクラクションの音が聞こえてくる。
振り返ると、ピカピカの真っ白な新車が吾郎の目に止まった。
「?」
吾郎が目を凝らしてじっと見ていると、中から男が現れた。
すらっと背が高く、髪型が特徴的な男。
「キーンじゃねぇか!」
吾郎の呼びかけに、キーンは僅かに口元を綻ばせた。
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