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きっかけは些細な事だった。
俺は夕べから寿也と話をしてない。
喧嘩中ってのはどうしてこうも気分が悪いんだろうな。
目が合っても直ぐにツンと逸らされてその度にムッとなる。
「おい、お前ら一体何があったんだ?」
夕方練習が終ると直ぐに薬師寺がやってきた。
「別に。寿也のヤツが勝手に意地張ってるだけだろ? 俺は知らねぇよ」
チラリと寿也に目を向けると、あからさまに顔を背けられる。
くそっ、マジでむかつく。
チッと舌打ちしたのが聞こえたのか、薬師寺が大げさなほど盛大に溜息をついた。
「たくっ、普段鬱陶しいくらい仲がいいお前らが一緒にいねぇとこっちの調子が狂っちまう」
で、原因はなんなんだ?
気が付けば俺の周りには三宅や児玉達の姿。
「お前らも鬱陶しいな。そんなに聞きたかったら寿也に聞けばいいじゃねぇか」
そう言うと連中はブルブルと首を振った。
「佐藤はあかん。 相当ご機嫌ナナメで監督すら声が掛けれへん状態や」
代表して三宅がブルッと身震いをする。
大方機嫌の悪い寿也に話し掛けようとしてガンでも飛ばされたか。
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