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「シゲノ、これから空いているか?」

 試合後、キーンにそう声を掛けられた。

どうしようか一瞬迷ったが、特に用事があるわけでもねぇし帰ったって寝るだけだからと思って誘いを受けることにした。

そして俺は今、キーンの部屋にいる。

本人同様、きっちりと整った部屋には無駄が無く、ごみ一つ落ちてねぇ。

夜も遅いから面白そうなテレビもやってねぇし、当然こいつの部屋にはゲームや漫画、雑誌といった娯楽的なものが何もねぇ。

何にもやる事が無くて、仕方なく俺はベッドに腰を降ろした。

――ここに呼ばれたって事は、やっぱり……そういう事になるんだろうな……。

部屋の奥から聞こえてくるシャワーの音に耳を傾け、ふと、そんな考えが頭を過ぎった。

アイツがこんな遅くに俺を誘うなんて、絶対そうとしか考えられない。

何処か出掛けるのなら、もっと前もって話をする筈だし、夜遅くまで雑談を楽しむような性格じゃない事くらい良く知っている。

ちょっと人恋しかった時期に声を掛けられて、そのままズルズルと身体の関係を続けているが……。

寿也が知ったら、きっと怒るだろうな。

ふと、ダークなオーラを漂わせた寿也が脳裏を過ぎりゾクリと悪寒が背筋を駆けた。


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