プレゼントは? 1154/154
「うーん……どうすっかな」
吾郎は悩んでいた。
腕を組んで、店の中を行ったり来たり。
洋服がいいか、それとも身につける小物にしようか。
二人でケーキを食べるのもいいかもしれない。
この間チラリと何が欲しいか聞いてみたら「吾郎君!」と即答されてしまった。
しかもその後、当然の如く押し倒されて……。
ふと、思考がおかしな方に脱線してしまい吾郎はブルブルと首を振った。
(あいつ、普段から何が欲しいとか言わねぇからな)
だんだん面倒になって、近くにあった備え付けのベンチにドカッと腰を降ろした。
気がつけば外は薄暗く、門限が迫っている事を伺わせる。
寮に戻れば嫌でも寿也と顔を合わせなければいけない。
折角の恋人の誕生日に手ぶらと言う訳にもいかず、途方に暮れてしまう。
ふと見ると、隣の宝石店に若い男女が居て、彼女へのプレゼントを選んでいる所だった。
(光モンって、柄じゃねぇよな)
一瞬シルバーの指輪を贈っている姿を想像してみたが、何かが違う気がして苦笑した。
(やっぱ無難に靴とかにすっか!)
よし、と気合いを入れて立ち上がる。
その時だった。
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