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「吾郎君! 今度の木曜空いてる?」

俺が部屋で漫画を読んでいると寿也が血相を変えて飛び込んできた。

ミーティングルームから猛ダッシュでもしたのか、ハァハァと肩で息をしながらベッドに腰を降ろす。

「どうしたんだよ、らしくねぇな。 なんかあったのか?」

俺の問いに答えは無く、予定は? と尋ねてくる。

木曜っていや、クリスマスじゃねぇか。

チラリとカレンダーに目をやれば寿也が付けたのかきっちりと赤い文字でクリスマスと書かれていた。

「あー、悪い。その日は先約があんだよ」

「……それって、眉村?」

寿也の言葉にドキリとした。


ずばり大当たりだったからだ。

直ぐに答えられない俺の態度を肯定と取ったのか、寿也は眉を顰め怪訝な表情で俺を見つめる。

「んな顔すんなよ。 もう大分前から約束してたんだからさ」

「へぇ……そうなんだ。僕の知らないトコで随分と仲良くしてるみたいだね」

周囲が瞬時に凍りつきそうなほど不気味なオーラを纏い、笑顔を向ける。

つか、すげぇ怖ぇぇ! 

「い、いいだろ別に。俺が誰と仲良くなろうが寿には関係ねぇじゃん」

「……っ」

怯みそうになるのを必死に堪えそう言うと寿也は凄く傷ついたような表情になる。

うっ、すげぇ罪悪感。

でも、俺は寿也と付き合ってるわけじゃねぇし本当の事を言っただけだ。

一気に沈んだ空気をどうしたらいいものかと考えていると、不意にドアをノックする音が聞こえてきた。



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