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「あれ? 吾郎君まだ来てない?」
練習場へ行くと、いつもあるはずの彼の姿が何処にも無かった。
「あぁ、今日はまだ見てないな……」
眉村も少し心配しているのか、難しい顔をしている。
おかしいな……僕が部屋に行った時は鍵もかかってたし、人がいる気配は無かったのに。
あの吾郎君が、練習に遅れるなんて、何かあったとしか思えない。
もう一度部屋に様子を見に行こうとしたその時、佐々木監督がやって来た。
「あの、茂野君がまだ来てないんですが」
「なんや、遅刻か? 珍しい事もあるもんやな」
僕がこんなにやきもきしているのに、みんなたいして興味も無いのかペアになってストレッチなんか始めてる。
「僕、もう一度部屋に……」
「佐藤、あいつもいい年齢なんだそこまで甘やかす必要もないだろう」
眉村が僕の言葉を遮って、早くストレッチの相手をしろと目で合図する。
「吾郎君の事、心配じゃ無いのか?」
「別に。 お前がそうやって甘やかすから、あいつも頼るんだ」
冷ややかな視線を投げかけ、いつもの口調で僕の背中を押す。
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