朝起きると、寿也はまだ眠っていた。
珍しいな、アイツが俺より遅く起きるなんて。
「おい、朝だぞ」
「……」
声をかけても全然動く気配はない。
「寿也?」
ゆさゆさと身体を揺すると異常に熱い。
額に手を当てると湿っぽい汗をかいて、篭った熱が伝わってきた。
「頭痛い」
肩で息をしながら、寿也がそう呟く。
「具合悪いなら、何で俺を起こさねぇんだよ!」
「 気持ちよさそうに寝てたから、心配かけちゃ悪いと思って」
ったく、変な気使いやがって。
顔色が悪いから、よほど具合悪いらしい。
「大丈夫か?」
俺が覗き込むと、熱ぽい潤んだ瞳で見上げてくる。
「僕なら、平気だから……君は早く朝練の支度しなよ」
「……」
「大丈夫、今日一日休めばよくなるって」
俺を心配させないように、無理した笑いをしてる。
力なく笑ってるとこ見ると、余計に心配になっちまう。
本当は側にいてやりたいけど……朝練はやっぱ出なきゃいけねぇし。
「ちゃんと、寝とけよ。起きるんじゃねぇぞ」
「うん、わかってる」
朝練の支度をしてる間も俺は心配で仕方ない。
もう行かなきゃ行けないのはわかってんだが、どうしても部屋から出るのを躊躇っちまう。
「どうしたの、早くいきなよ」
「寿!」
「!?」
俺はベッドサイドに行くと寿也を引き寄せて、その唇にキスをした。
不意をつかれたのか、目をぱちくりさせて、なにが起こっているのかという目で俺を見つめてくる。
寿也の唇はとても熱かった。
喉の奥から溢れてくる吐息はもっと熱く感じた。
「ごろ……う……君?」
「行って来るから、ゆっくり休めよ」
後ろ髪を惹かれる思いで俺はグラウンドへと向かった。
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