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そして夜。

お盆を過ぎた辺りから日が落ちるのが急に早くなって、午後七時を過ぎると辺りはもう真っ暗だった。

簡単に夕食を済ませた僕らは外出届を提出して寮の外へ。

昼間の蒸し暑さとは対照的に夜の風はひんやりとして心地よさをもたらしてくれる。

「少し歩こうぜ」

「……うん、そうだね」

早くも鳴き出した秋の虫たちの声に耳を傾けながら、二人で肩を並べて歩く。

……たまには、こういうのも悪くないな。

そっと繋いだ手から吾郎くんの温もりを感じ、思わず顔の筋肉が緩んでしまう。

「なにニヤニヤしてんだよ。 気持ちわりーな」

「気持ち悪いってなんだよ、酷いな」

「俺は事実を言ったまでだぜ? 思い出し笑いはスケベな証拠だぞ!」

顔を覗き込みながらからかい口調でそう言われ、些かムッとした。

「そりゃまぁ、僕も男だからね。 男はみんなスケベだろ?」

「まぁな」

そう言ってニヤリと笑う。

他愛も無い話をしながら辿り着いた先はいつも僕らがキャッチボールをしているちょっとした広場だった。

当然今は誰も居なくて、僕と吾郎くんの二人っきりだ。

広場の一角にあるベンチに腰を下ろすと、辺りは静寂に包まれる。


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