7154/154


一方その頃、寿也の部屋では。

「僕ジュース持ってくるから、ゆっくりしといてよ」

「ああ、別にいいっすよ。お構いなく」

大河の言葉に、寿也はピタリと足を止める。

口調といい、行動といい……全てが別人のようだと寿也は思った。

「……吾郎君、本当に、吾郎君だよね?」

「えっ!? お、おう当たり前じゃねぇか。なに言ってんだよ」

冷や汗が額から伝ってくる。

寿也は大河の横に座りなおし、ジッと彼を見つめた。

「あ、あんだよ?」

「キスしよ?」

「へっ? あ……」

(ええっ!? ど、どうすんだよっ、これって先輩の日常なわけ!?)

どんどん迫ってくる彼に大河は思わず顎を引いた。

それは無意識の行動で、それによって寿也はこれが別人であると確信した。

「ねぇ、君は誰?」

「な、何言ってんだよ!? お、俺は茂野吾郎に決まってんだろ?」

「じゃぁ、いつもどおりに僕のこと呼んでみなよ」

そう言われ、言葉に詰まる。

吾郎が二人っきりの時に彼を何て呼んでいるかなんて、そんなの知るわけがない。

「僕も、前に吾郎君と入れ替わったことがあるから、わかるんだよ。君は一体誰?」

「お、オレは……」



*PREV NEXT#

Bookmark


 

List Top

Menuへ戻る


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -