泊まる準備をして吾郎の家へ。
夕食を食べて、入浴を済ませ部屋に行き、しばらくゲームなどをして過ごす。
その時、吾郎の携帯に着信があった。
「もしもーし」
『もしもし、僕だけど。明日の約束、忘れてないよね?』
「明日……? お、おう、忘れてねぇよ」
カレンダーにはしっかりと赤丸がつけられていて吾郎はギクッとした。
(やっべ、すっかり忘れてたぜ)
後ろ頭をかきながら電話を切ると、大河がジッと顔を覗きこんでいてギョッとした。
「どうかしたんっすか?」
「えっ!? いや、なんでもねぇ」
もし、大河に寿也と付き合っていることがバレては大変だ。
彼は、リトル時代に寿也と面識があるため、絶対弱みを握られるに決まっていた。
吾郎は大げさなほど手を振って、なんでもないことをアピールしたが、それが返って大河に猜疑心を植えつけることになった。
「明日、何か用事が出来たんですか?」
「そ、そうなんだよ。明日、友達と……ちょっと用事ができて。朝早いからお前が起きる前に俺出かけっけど……気にしなくていいからな」
「誰と会うんです?」
「だ、誰でもいいだろ? 大河には関係ねぇ」
目を泳がせている彼に、大河はこれは絶対何かあるな。
そう思った。
結局、誰と行くのかは最後まで教えてくれなかったが、待ち合わせの場所と時間は聞き出すことに成功した。
「先輩がそんなに隠すって事は、僕が知ってる人でしょ?」
「っ! ……だから、お前には関係ねぇって。ほら、もう寝るぞ」
「教えてくれたっていいじゃないっすか。先輩」
「なんで、そんなに聞きたがるんだよ?」
「なんでって、先輩のことが好きだからに決まってるじゃないっすか?」
大河の思いがけない言葉に、吾郎はキョトンとした顔をした。
「えっえええっ!?」
「すっげぇマヌケ面。冗談っすよ、冗談」
ぶっと吹き出して、肩を震わせて笑う。
「大河! てめぇ、変な冗談言うなよ!」
心臓に悪いじゃねぇか。
そう呟いて相変わらず笑っている大河をみて、頭をコツンと叩く。
「ま、明日早いんだったら早く寝たほうがいっすよ」
「そうだな。」
こうして、電気を消して二人は眠りについた。
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