(あ、あれ? 取れない!? なんだよ、コレ?)
そのままの状態で手に張り付いたランプを取ろうと悪戦苦闘していると、吾郎がそれに気が付いた。
大河の様子を見て顔から血の気が引いてゆくのが手に取るようにわかる。
「ま、まさかお前! その手にランプを!」
「なんだ、やっぱり見えてるんすか! じゃぁ早く取ってくださいよ! コレ!!」
必死になって取ろうとする大河の肩を吾郎はポンッと叩いた。
「諦めろ。そのランプはお前を新しい主として認めたらしい」
「はぁ? なにいってんっすか。そんな馬鹿げた話あるわけないでしょ?……、いいから取って下さいよ」
吾郎は、大河に以前自分が体験したことを、話せる部分だけ全て話して聞かせた。(寿也との情事のことは勿論伏せているが)
大河は最初興味なさそうに話を聞いていたが、次第に真剣な表情で聞き入っていた。
これは、ひょっとしてチャンスかもしれない
自分が吾郎になって、背の高いやつの気分を味わいたい。ふとそう思った。
「ねぇ、先輩。今日先輩の家に泊まっていいっすか?」
「ん? 別にかまわねぇぞ」
「マジッすか!? やった」
吾郎の話が本当なら、明日は休みだから一日入れ替わってみるのも楽しいかもしれない。
自分の目で入れ替わった吾郎を見たくってお願いしたお泊りが意外にもあっさりOKされたので、大河は嬉しくなった。
家に帰ると早速、鏡に映る自分の姿を確認。
大河は、部屋に戻るとランプの腹をさすってみた
カランと小気味いい音を立ててランプは手から離れ、大河は心の中で念じた。
(僕と茂野先輩が入れ替わりますように)
何にも変化がないので、本当に効果があるのか不安に思ったが吾郎の話だと翌朝から一週間入れ替わるというので、とりあえずそれを信じることにした。
こんなもの効くはずがない。面白半分の願いだった。
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