「さすがに男ばかり人だと目立つみたいだな」
「チッ見せもんじゃねぇっつの」
「いっそのこと女装でもしたらどうだ?」
眉村がにっと笑って薬師寺を見た。
「なっ、何言ってんだ!! なんで俺が!?」
ゴホゴホッとむせながら、言い出した本人をにらみつける。
「絶対似合うと思うがな?」
「バカ言ってんじゃねぇ! ってか、俺より断然佐藤のほうが女顔だろ!!」
「薬師寺、今なんって言った!?」
「バカだなぁ、薬師寺。寿の前でそのセリフは禁句だって」
ものすごく黒いオーラを発生しつつ、にこやかに笑顔を向けられ、薬師寺は引きつり笑いを浮かべた。
「じ、冗談に決まってんだろ、ハハッ」
「そう、ならいいんだ」
「さてと、ゲーセン行こうぜ♪」
すっかり元気を取り戻した吾郎は、足取りも軽くゲーセンへ。
そこで、シューティングゲームなどを行った。
「うわっ、すっげぇな眉村」
「マジで……意外な才能発見だな」
「……」
吾郎と薬師寺が感嘆の声を上げたのは、彼がUFOキャッチャーででかいぬいるみを一発で取ったからだ。
「ブッ……でけぇ猫のぬいぐるみ。お前持ってるとにあわねぇな」
そのアンバランスな姿に、薬師寺はクックックと肩を震わせた。
「笑うな」
「なんだ、珍しいな。照れてんのか?」
「……」
頬を染める仕草がとてもおかしくて思わず再び吹き出した。
「もう、いいから早く次へ行くぞ」
「これからどうしよっか?」
気がつけば、もうすぐ夕方で戻る時間まで考慮すると、とても水族館はいけそうにない。
みんなの視線は一際大きな観覧車に注がれた。
「やっぱり、最後は――」
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