「なぁ眉村、ここわかるか?」
「ん? どこだ。あぁここか、ここはな……」
吾郎がボーっとしていると、目の前で眉村と薬師寺が勉強の教えあいをしていた。
(ふーん、なんかラブラブオーラが出てんだけど)
頬杖をついて観察していると、ポコンっと頭を殴られる。
「いってぇ! なにすんだよ、寿」
「吾郎君、人の観察はいいから勉強しなよ」
「うー」
「ほら、僕が教えてあげるから」
そう言って、手元にあった数学の問題集を開く。
「じゃぁ、一問目からいってみようか」
「あー、へいへい」
そう言って、ペンを握ってみるものの、わからない数字ばかりが並んでいて頭の中には疑問符がいっぱい浮かんでいた。
「どうしたの? この間授業で習わなかった?」
「佐藤。茂野に授業の事聞いたって無駄だぞ。コイツ始まって十分で寝てるから」
寿也の疑問に薬師寺がからかい口調で答えると吾郎はムスッとして頬を膨らませた。
「うるせぇな、しかたねぇだろ。いいんだよ別に。微分積分なんか知らなくても生きていけるし」
「もう、屁理屈言わない」
そう言ってもう一度ポコンと頭を叩かれる。
「なぁ、数学やめて国語にしようぜ。国語なら少しはできるし」
「へぇ。じゃぁ、僕が指差すヤツ読んでみてよ」
「お、おう」
寿也は、国語の問題を開くと比較的簡単だと思われる漢字を指差した。
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