3154/154


「今日は悪かったな。昼飯までおごってもらっちまって」

「別に。俺がそうしたかっただけだ。気にするな」

海岸沿いに沈む夕陽をバックに車を走らせる。

車内には軽快な音楽が流れていて、吾郎は始終ご機嫌だった。

「悪いがもう少し、付き合ってくれ。茂野」

連れて行きたいところがある。

今まで軽快な音楽を流していたのを、バラード系の曲調に変えてゆったりと車を走らせる。

「なんか、よかったのか? 最初に乗せたのが俺で」

「何のことだ?」

「いや……さ。ほら、最初に乗せんのはやっぱ彼女とかがよかったんじゃねーかなって」

ちょうど、駐車場が見えてそこに車を止めて吾郎を見つめる。

辺りはすっかり暗くなって、街灯の淡い光だけが二人を包み込んでいた。

「着いたぞ、出ろ」

吾郎の質問には答えず、キーンはドアを開けた。

吾郎が外に出ると、そこには息を呑むほどの美しい光景が目前に広がっていた。


*PREV NEXT#

Bookmark


 

List Top

Menuへ戻る


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -