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「サングラスかけってから、わかんなかったぜ! お前、新車買ったのか!?」
「ああ」
吾郎の問いに、小さく答える。
吾郎とあまり歳の差が無いはずなのに、落ち着いて見えるのは何故だろう。
まぁ、吾郎が幼すぎると言ってしまえばそれまでだが。
「それにしても、なんでお前がココにいんだよ? まさか、その自慢の新車を俺に見せびらかしにきたんじゃねーよな」
「その通りだ」
「げぇっ」
そのはっきりとした物言いに、吾郎は思わず一歩下がってしまう。
「あ、っそ。じゃぁ俺帰るから」
自分が自慢するのは気持ちいいが、自慢されるのはやはり面白くない。
キーンに手を振り別れようとして、呼び止められた。
「あんだよ? 自慢だけなら俺は聞きたくないぜ」
「違う、それはほんの冗談だ。気を悪くしたのなら謝る」
珍しい彼の言葉に、吾郎は目を丸くした。
今まで、キーンが謝ったことなど一度も無かったからだ。
「せっかくだから、お前をサイドシートに乗せてやろうかと思ってな」
「マジ!? 乗せてくれんのか!?」
目をパァッと輝かせ、嬉しそうな表情を見せる。
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