「危ないぞ、何やってるんだ」
「!?」
突然声が降ってきてそれと同時に、凄い力で腕をつかまれ引き寄せられた。
驚いて顔を上げると見慣れた人物が居て、思わず胸が高鳴った。
無理やり離れようとしてもそれ以上の力で抱きしめられて身動きが取れず困惑した。
「なんだ、俺の事なんかほっとけよ。どうせ、俺の事なんかどうでもいいクセに」
「意味がわからんな……俺がいつ、お前の事をどうでもいいと言った?」
「言ってねぇ、言ってねぇけど」
ほろ酔い気分の思考回路では、上手く言葉に出来ずもどかしさに俯き、キーンの服をキュッと掴む。
「俺……わかんねぇよ。キーンの気持ち、全然わかんねぇ」
「何!?」
「こんなに近くに居るのに……心だけ、どっか別のとこにあるみてぇ。不安なんだよ……俺。本当にお前に好かれてるのか」
「っ!」
声のトーンを落とし、眉根をよせ切なげに呟く彼を、キーンは堪らずより一層強く抱きしめた。
「お前は……わかってないんだ。俺がどれだけお前の事を想っているのか。俺が抑えきれなくなったら、ゴローに酷いことするかもしれないんだぞ?」
「腫れ物みたいに扱われんのイヤだ。……なんで我慢してんだよ、俺たち恋人同士だろ? 俺、キーンになら何されても、平気だから」
ほんのりと頬を染め、潤んだ瞳を向ける。
「後悔しても、知らんぞ?」
「へっ、しねぇよ。んなもん。」
互いにうっとりと見つめあい、少しずつ距離が縮まってゆく。
美しくライトアップされた噴水を背に、二人はそっと口付けた。
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