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「んだよ、折角人が遊びに来てやってんのによぉ! ちょっとは相手してくれたってばちはあたんねぇだろ!?」

とうとう痺れを切らした吾郎が食って掛かるとキーンは驚いたように顔を上げた。

「一体どうしたんだ、そんなにカリカリして」

「どうしたもこうしたもねぇよ! いつまで待たせる気だ」

怒りを露にする吾郎。

そんな彼をどう扱ってよいものかと、キーンは頭を悩ませる。

「それは悪かった。 だが、今日はどうしてもコレをやっておきたかったんだ」

ギュッと抱きしめると、吾郎の肩がピクリと反応する。

「俺より、次の試合の方が大事なんだろ」

「そんな事思っていない。ゴローが一番に決まってるじゃないか」

耳元でそっと囁かれ強張っていた全身の力が抜けてゆく。

「じゃぁ、証拠見せてみろよ」

「証拠?」

「そう、俺が一番だって言う、証拠」

挑発的な上目遣いで見つめられ、思わず喉が鳴る。

半開きになった口からは赤い舌がチロチロと誘うように蠢いていて引き込まれるように目が離せなくなった。

「なぁ……キーン」

甘く響くその声に軽い眩暈を覚える。

すっと伸びてきた手が頬を撫で、スルリと首に絡みついてくる。

全く、何処でこんな仕草を覚えてきたのか。

若干18歳という年齢にしては妖艶すぎる行動に戸惑いを隠しきれない。

「……っ」

結局、目の前にある誘惑に打ち勝つ事が出来ずに、頭に手を添えて貪るように口付けを交わした。

「んっは……キーンっ」

チュッチュッと水音が響き渡り、官能的な雰囲気を醸し出す。

口腔内を縦横無尽に這い回る彼の舌技に翻弄され、吾郎は恍惚の表情を浮かべる。

身体の中心から沸き起こる甘い痺れに、身を委ねていると、突然彼は唇を離した。

「え? なんで?」

「今夜はもう遅い、部屋まで送っていくから支度しろ」

いつもと変わらない表情や、態度。

なにがなんだかわからないまま、その日は部屋へ強制送還となった。


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