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それは、今回の旅行が決まって数日経ったある日の事。

吾郎は、いつものように彼の部屋に居た。

「なぁ、いつまで待たせるんだよ!」

備え付けのベッドに座り、次の試合のデータチェックを行っている彼が終るのを待って

いた吾郎は、抗議の声を上げた。

「もう少しだ。静かにしていろ」

一瞬だけ、視線があうと直ぐにまたデータと向き合う。

吾郎からしてみれば、恋人がわざわざこうして足を運んでいるのだから、作業は後回しにして欲しいと思ってしまうのだ。

自分より、次の試合の事ばかり優先する彼に吾郎の不満は募るばかり。

そんな吾郎の気持ちを知る由も無い彼は、黙々と作業を続ける。

「なぁ、まだおわんねぇの?」

退屈で仕方が無い吾郎は、ベッドに寝そべりあっちへゴロゴロこっちへゴロゴロ。

だが、彼の答えはやはり、「あと少しだ」だった。


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