「勿論、泊まっていくんだろう?」
「そりゃ泊まりたいけど、バター犬プレイなんて絶対に嫌だからな」
「……それはさっき冗談だと言ったはずだが?」
「……っ」
べたべたになった指をタオルで拭きながら、キーンの口元に笑みが浮かぶ。
「なんだかんだ言って、本当は期待していたんだろう?」
「だから、期待なんかしてねぇっつーの!」
そりゃ、少しは興味あるけど。
「ふん。まぁいい」
くいと顎を持ち上げられそのまま唇を塞がれた。熱い舌が口の中に侵入してきて、俺の舌を絡めとる。
視界の端にワンコの視線を感じ、ぞくりと怪しい震えが走った。
「キーン、ちょっ待っ……ふ、ぅン……っ」
犬に見られているのが恥ずかしくて顔を背けようとしても、許してもらえず、キスはどんどん深くなってゆく。
くそ……キーンのやつ、煽るようなキスしやがって。
甘い痺れが全身を駆けて身体から力が抜けていく。
するりとシャツをまくられ、いやらしい手付きで脇腹を撫でられ慌ててそれを止めた。
「――ベッドルームに行くか?」
「へっ、珍しく優しいじゃねぇか。子犬の前でネコ被ってんのか?」
「まさか。今はまだゴローにお前の乱れた姿を見せたくないだけだ」
「今はまだ、ね」
それって、いつかはこのワンコを交えて何かやらかすつもりって事か? こいつならあり得ない話じゃねぇ所が恐ろしい。
でも――。
「なんでもいいや。ワンコを寝室に絶対いれねぇって言うなら行ってやってもいいぜ」
「OKわかった。じゃ、行くか」
「あ、俺さっきので腰に力入らねぇから連れていってくれよな」
「……チッ、仕方のない奴だ」
苦笑しながら視線が絡み、俺たちはもう一度触れるだけのキスをした。
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