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「ゴロー……お前には俺がどれだけ愛しているのか、その身体にみっちり教え込んでやったつもりだったんだがまだわからんようだな」

「え? いや、だから疑ってたわけじゃ……。つか、言い方がエロいんだよキーンはっ!」

ソファが軋み抱かれた肩ごと押し倒される。着ていたシャツを脱ぐ仕草にすら色香を感じ心臓がバカみたいにドキドキしてくる。

「物覚えの悪いペットには繰り返し教えてやらんと駄目か」

「俺はペットじゃねぇ!」

「どっちも似たようなもんだ」

「うわっ、ひでっ――んぅ……」

文句を言ってやろうとしたが、全てを言い終わらないうちに唇を塞がれた。同時にシャツの中に手が滑りこんで来て素肌に熱い掌が触れる。

「バカ、ここじゃ……」

「あぁ、ゴローの事は気にするな。大体、見られながらするの好きなんだろう? オマエ」

「す、好きなわけねぇだろっ!」

気にするなと言われても気になっちまうし、いくら子犬でも将来に悪い影響があるんじゃないかとか考えると集中出来ない。

チラリと横を見れば黒い塊が直ぐ側まで来ていて、つぶらな瞳がジッと俺達二人を見つめている。

なんかすげー近いんだけどっ! しかもなんかハッハッって息荒くして、尻尾振りまくってるし!

「なんだゴロー。お前も混ざりたいのか?」

「ワン!」

「いや! いやいやいや、混ざるとか有り得ねぇからっ! 子犬にナニ教えてんだよ!」

 焦る俺をしり目にキーンはソファから降りると冷蔵庫からなにやら小さな小瓶を取り出して戻って来た。

「バター犬って知ってるか?」

不敵な笑みを浮かべながらキーンは瓶の蓋を開けて、人差し指で中身を掬った。クリーム状のモノが絡まった指が、ツイと口元に差し出される。

「知ってるけど……それがなんだよ」

舐めろって事か? この指を?

「折角だから、ゴローをバター犬に仕立てようかと思っているんだ」

「へぇ……って、はぁあっ!? おまっ! ナニバカな事言って……んぅっ!?」

驚いて口を開けた拍子に、長い指先が口の中に差し込まれた。


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