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「……結局、ココに来たのはいいけど、どうすっかな」

キーン家の玄関の前で、俺は悩んでいた。

勢いでココまで来ちまったが、もし扉の向こうに女が居た時俺はどうしたらいいんだろう?

ヤってる最中とかだったら目も当てられない。

いや、キーンに彼女なんて絶対あり得ないっ。そう、信じたい……だけど、万が一という事もある。

小一時間ほど悩んだ挙句、このままでは埒があかねぇと思った俺は思い切ってインターホンを押してみることにした。

だが、いつもなら直ぐに出てくる筈なのに今日に限って中々出てくる気配が無い。

もしかして、留守なのか?

マジで彼女とデート中だったりして。

背中にいやな汗が伝い、インターホンを押す手が震える。

キーン、どうしちまったんだよ。

不安な気持ちは膨らむばかりで、胸が締め付けられるように苦しい。

諦めて帰ろうかと、思う反面もしかしたら……と言う気持ちもあって玄関前から動く事が出来ない。

何度目かのインターホンを押した時、ようやく中から人が動く気配がした。

「はい。勧誘ならお断りだ――。……なんだお前か」

カチャリとドアが開いて眉間に皺を寄せたキーンが顔を覗かせた。

「よ、よぉ!」

「珍しい事があるもんだな」

キーンは短く息を吐くと、入れとばかりに俺の腕を引き玄関の扉を閉める。

一見、女が居るようには見えなくて少しホッとした。

つーか……。

「なぁ、キーン。お前の家ってこんなに散らかってたか?」

床のあちこちに服やら靴下が散乱している状況に驚きを隠せない。

俺の記憶しているコイツの部屋はいつも綺麗に整頓されていた筈だ。

「あぁ、これはゴローが……」

「は? 俺?」

「い、いや。そうじゃなくて……」

散らばった服をかき集めながら珍しくもごもごと口籠るキーン。一体何を隠している?


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