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「ぅわぁああああっ!!!!……って、アレ?」
ハッ、と気づくとそこはさっきまで居たはずのキーンの部屋じゃなくて、懐かしい自分の部屋だった。
見慣れた天井を仰ぎ見て、先日日本へ戻ってきた事を思い出し、ようやくふぅっと息を吐く。
なんだ――夢だったのか。
それにしても、なんつー恐ろしい夢だったんだ。
全身から吹き出した汗が夢の恐怖を物語っているようで、ゾクリと背筋が粟立った。
「……大丈夫かい? ずいぶんうなされていたみたいだけど」
「うわっ! 寿也!!」
「うわっ、て……人を化け物みたいな言い方しないで貰えるかな」
俺が驚いた事が気に入らなかったのか、ムッと眉を吊り上げる。
「ハハッ、悪りぃ悪りぃ。ちょっと夢見が悪かったからさ」
「へぇ……どんな夢だったんだい?」
「……っ」
興味津々に訊ねて来る寿也。い、言えるわけがねぇ。
「僕を見て驚いたって事は……僕に何かやましい事でもあるのか」
スーッと寿の瞳が細められ恐ろしいほど冷たいオーラが滲み出てくる。
「じっくりと、その夢の話を聞かせてもらいたいなぁ」
(目が、笑ってねぇっ)
出来る事なら、これも夢であって欲しいと思う俺だった。
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