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ズボンに張り付いてる顔は紛れもなく寿也で、訝しげな瞳で俺をジッと見つめている。

こんな気持ち悪いズボン早く脱いじまわねぇと!

慌てて手を掛けたが、凄い力で押さえつけられてるみたいでびくともしない。

「おい、寿! 悪い冗談やめろっ」

「脱いでどうするつもりなんだい?」

「いいから脱がせろっ!」 

「嫌だ! 何回僕を裏切れば気が済むんだ」

「うるせぇっ!」

足が縺れてつまずきそうになりながら、必死にズボンと格闘する。

「……なにを、しているんだ?」

「!」

一瞬、部屋の空気が凍りついたように感じた。

ギギギッと油の切れたロボットのように首を回し恐る恐る振り向くと、シャワー上がりのキーンが腰にタオルを一枚巻いた状態で不思議そうに俺を見つめていた。

ハハッ、笑うしかねぇってこう言うときの事を言うんだろうな。

「……吾郎君……っ」

般若のような形相の寿也が、今にもズボンから飛び出してきそうな勢いで迫ってくる。


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