「お揃いというのも悪くない」
「ハハっ、確かにな」
二人が繋がってるって感じがして、案外いいかもしれない。
お互いの首に巻くと妙な気恥ずかしさに襲われる。
「サンキュ! 眉村!」
「あぁ、大したものじゃない。ところで、茂野……」
「んぁ? なんだよ」
急に真剣な声色になり表情もきりっと引き締まる。
つられて背筋を伸ばすと、フッと耳元に手が触れた。
「これがクリスマスプレゼントなのは理解できたが……もう一つ大事なものを忘れてるんじゃないのか?」
「へ?」
大事なもの。と言われ、思わず間の抜けた声が洩れた。
直ぐにそれが、眉村の誕生日を指しているって気付いた。
だが、何も用意してない事にはかわりねぇ。
「悪い! クリスマスの事ばっか考えてて、お前の誕生日忘れてた!」
こうなりゃ開き直るっきゃねぇ! とばかりに謝ると、眉村は短く息を吐いて俺の頭を撫でた。
「別に何か欲しいわけじゃない」
「え?」
「折角の誕生日だからな、一つだけ俺の願いを聞いてくれないか」
真っ直ぐに切れ長の瞳が俺を捉える。
マウンドで見る、鋭い視線とは違う優しい瞳に、不覚にもドキリとした。
「なんだよ、願いって……」
「……俺と付き合う気はないか?」
「!?」
「佐藤がお前を狙ってるのは勿論知っている。だが、俺だってアイツに負けるつもりはない」
手をギュッと握られ、真剣な顔つきになる。
好きだと言われ、強く抱きしめられて益々鼓動が早鐘を打ち出した。
「……馬鹿だな、お前」
「何!?」
「俺が好きでもねぇやつとデートなんかする訳ねぇだろ?」
付き合うも何も、デートをOKした時点で答えはほぼ決まっていた。
「俺だって、お前の事好きだったんだぜ?」
「茂野!」
眉村の温もりを感じながら背中に腕を回す。
その時、頬に冷たいものが当たったような気がした。
「あ……見ろよ!」
どんよりとした空からはいつの間にかハラハラと粉雪が舞い始め、俺たちの頬や肩を濡らしては消えてゆく。
「ホワイトクリスマスになったな」
「そうだな」
視線が絡みゆっくりと二人の距離が縮まってゆく。
鼻と鼻がくっつき、生暖かい息がかかる。
「誕生日、おめでとう。そして、メリークリスマス!」
ハラリハラリと舞い落ちる粉雪を感じながら、雪の寒さも何処かへ飛んで行ってしまうんじゃないかって思うくらい、熱いキスを交わした。
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