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〜♪〜♪〜♪♪〜

何処か遠くのほうで携帯が鳴っている。

夢と現実の狭間でウトウトしていると、横に居た寿也が小さく身じろぎした。

「――吾郎君、電話〜」

「ん。 わかってるよ」

ツンと脇を突付かれて、寝ぼけなまこを擦りながら携帯を受け取る。

「こんな朝早くに誰だよ」

ブツブツと文句を言いながら受話器に耳を当てると、聞き覚えのある言語が耳に響いた。

「hello? shigeno」

「――あ?」

咄嗟にそれが英語であるという事に気が付かず、間の抜けた声を上げる。

『なんだ、寝ぼけているのか? もう朝だろう? ずいぶんとだらけた生活を送っているようだな』

ふてぶてしい言い草にカチンと来て、次第に意識がはっきりとしてくる。

「なんなんだよ、いきなり! 俺が何時に起きようが関係ねぇだろ! つか、お前誰だ!?」

ムッとした気分が伝わったのか、受話器の向こうに居る相手がフッと笑った(ような気がした)

「わからんか? たった数週間の事なのにバッテリーを組んでいた俺の声を忘れるとはな……」

「は? 何言って……って、キーン?」

ふてぶてしい口調。 偉そうな物言い。

英語を話す相手で思い当たるのはジュニアかキーンしか居ない。

ふと思い当たった人物の名を呟くと、相手が「そうだ」と返事をした。

「なんだ、キーンかよ! つかいきなり過ぎてわかんなかったぜ」

まさか彼から電話が掛かってくるとは思って居なかった驚きと、わざわざ連絡をくれたと言う喜びが混ざり合い、思わずベッドの上に座りなおす。

「で、何のようなんだ? お前が用も無しに掛けて来るわけねーもんな。 まさか、俺の声が聞きたくなったとか?」

「あぁ。お前に会いたくてな、さっき日本に着いたんだ」

「へー、日本に……え!?」

天気の話でもするかのようにさらりと言われ、吾郎は一瞬我が耳を疑ってしまった。

今、日本に着いたとか言わなかったか?

自分の聞き間違いだろうか?

「き、キーン。お前何冗談言って……」

「冗談ではない。 そんなつまらん冗談言ってどうするんだ」

「ハハっ、そうだよな」

「とにかく、成田に居るから迎えに来い」

「はっ!? 何言ってんだよ、そんな事出来るわけねぇだろうが!」

さも当たり前のように命令する彼に、流石にそれは無理だと抗議の声を上げる。

突然成田まで迎えに来いと言われて、はいそうですかなんて言えるわけが無い。

先ず、免許も車も無いのにどうやって行けと言うのか。


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