「ねぇ、吾郎君! UFOキャッチャーやろう!」
「俺、こういう細かいの苦手なんだよ。 眉村なら細かいの得意そうじゃねぇ?」
「俺が? やったことないからわからん。 どうやるんだ?」
久々に出た街で、俺たちが行ける場所なんて限られている。
カラオケ、ボーリング、ゲーセン、映画……。
俺も寿也も眉村も最近のファッションやら、小物やらにはさほど興味はなく、盛り上がれる場所は決まっていた。
「結局さぁ、最後に辿り着くのはココなんだよな」
「……」
俺らが足を運んだのはスポーツ用品店。
なんだかんだ言ってもココが一番落ち着くし会話も弾む。
一時間ほどソコで時間を潰していると不意に寿也の携帯が鳴った。
「……もしもし? え? うん……うん、わかった」
急に真剣な表情になり、寿也の表情が曇る。
「どうしたんだよ、寿」
「うん、おじいちゃんがね、ぎっくり腰で動けなくなっちゃったみたいなんだ。だから、僕急いで行かなくちゃ」
名残惜しそうに呟く寿也。
「そうか……そりゃ残念だったな。 まぁ、じいさんの一大事ならしゃぁねぇよ」
「うん……ゴメン!」
それだけ言うと、寿也は急いで走り去ってしまった。
「……大丈夫かな。アイツの爺さん」
「さぁな。ただのギックリ腰なら大したことはないだろう」
嵐が去って行った後のような静けさにしんみりしていると、不意に冷たい手が重なった。 |