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「――ふぅん……やっぱりクリスマスは二人でデート……」

「どわぁっ!?」 

突然肩に顎が乗り耳元で囁かれて、心臓が口から飛び出しそうになった。

「寿也、いきなり現れて脅かすんじゃねぇよ」

「眉村と……ねぇ……」

目を細めて俺を見つめ、意味深な表情を浮べる。

なんだか嫌な予感がした。

「お前、付いてくるなよ」

俺がそう言うと、寿也は意味ありげにクスッと笑った。

その笑いが怪しいんだっつーの!

ホント何考えてんのか読めねぇ。

結局寿也からは、それ以上追求される事も無く、普段どうりに当日の朝を迎えた。


ところが――。

「……なんでコイツがいるんだ?」

「俺が知るかよ!」

念入りに待ち合わせ場所を決めて、絶対に寿也にだけには見つからないようにと寮を出る時間までずらしたのに……。

今、俺たちの目の前にニコニコと何考えてるかわかんねぇ笑みを浮べて立っているのは紛れも無く佐藤寿也だった。

「寿……お前……」

「ゴメンね、吾郎君。こんな鉄仮面と一緒に居て君が喰われやしないかと、心配で心配で」

うそ臭い表情を浮かべ、さりげなく俺の手を握る。

チラリと眉村へ視線を向ければ、肩を竦めて小さく首を振った。

「まぁ、来ちまったモンはしゃあねぇし3人で出かけようぜ」

「そうだね!」

「……あぁ」

ニコニコと満面の笑みを浮べる寿也と、明らかに落胆の色を隠しきれない眉村。

初めてのデートの予定が音を立てて崩れていく。


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