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そして、ハタッと我に返る。

ちょっと密着しすぎ、かも。

そう意識した途端、心臓がぶっ壊れるんじゃないかと思うほどバクバクと激しく脈うつ。

「どうかしたか?」

「え? いやっ、何でもねぇ。つか、近づきすぎだろ、お前っ」

慌てて身を引こうとして、ギュッと抱きすくめられた。

「寒いから、構わないだろう?」

耳に掛かる息が熱い。

トクントクンと背中越しに規則正しい心音が聞こえ何となく落ち着く。

「今だけ……だからな」

チラリと視線を向けると、何も言わずに頭をクシャクシャっと掻き回す。

何となくガキ扱いされてるようで悔しい。

「同じ年齢の癖にガキ扱いしてんじゃねぇよ……」

「?」

ボソリと呟いた言葉は聞こえなかったようで、睨みつけても不思議そうな顔をしている。

「……そういやさ、眉村は星に願いを掛けるとしたらどんな事を願うんだ?」

ちょっとだけ、気になった事。

思い切って聞いてみたら、今度は思いっきり眉を顰めた。

「なんだよ、可笑しな事聞いてるか?」

不安になって尋ねると、小さく首を振った。

「いや、考えてなかった」

「マジかよ」

口元を押さえなにやら考えている様子。

「茂野はどうなんだ?」

「俺? 俺は……教えねぇっ」

いきなり切り返されてドキッとする。

俺だけ教えるなんて不公平だっ!

「じゃぁ、同時に言おう」

「お前、願い事考えてなかったんじゃねぇのかよ」

「たった今考えた」

表情の薄い真面目な顔で俺の手を握る。

つか、そんなに直ぐ願い事って思いつくものなのか?

かなり胡散くせぇ。

「考えるまでもなかった。今考える事といえば一つしかないからな」

真っ直ぐに俺の目を見てそう呟く。

何処となく熱を含んだような視線にドキドキする。

もしかしたら、俺と同じ事を思ってたりして。

なぁんて甘い期待を微かに抱いてる自分が何となく恥ずかしい。

「じゃぁ、せーので言うんだぞ」

高鳴る鼓動を抑えつつ、確認すると眉村もコクリと頷く。

そして――。


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