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「……おい」

「!?」

いきなり、帽子を目深に被った男に肩を掴まれ身構える。

「せっかく迎えに来てやったのに、素通りとは……」

「え? あ……! 眉…っ」

ちらりと見えたその男の素顔に、思わず声をあげそうになり慌てて口を押さえた。

「なんだ……来てくれたのかよ。 てっきりどっかのチンピラに絡まれたかと思ったぜ」

「お前みたいな奴に絡むチンピラはいないだろう」

「ひっでぇの」

フッと笑みを零しさりげなく俺の荷物を奪う。

そして、「行くぞ」とばかりにさっさと歩き出してしまった。

「おい! ちょっと待てよ! 久々の再開がこれかよ」

「なんだ? 不満なのか?」

「う……そういうわけじゃねえけど」

折角会えたんだからハグくらい……なんて甘いかな?

モゴモゴと口ごもる俺を見て眉村はスッと隣にやってきた。

「こんな人前で歯止めが利かなくなったら困るだろう?」

「えっ? それどういう……っ」

耳元で囁かれ振り向いた俺の唇に一瞬柔らかい感触が当たる。

「抱きしめるだけじゃ止まりそうにないからな」

顔から火が出そうなほど熱くなった頬を撫でられ反射的に身体が跳ねた。

「フッ、ほら行くぞ」

何も言えなくなってしまった俺を横目に眉村はスタスタと先に行ってしまった。


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