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「えっ、うそ!?」
「嘘吐いてどうすんだよ」
「そりゃそうだけど……で、何を願ったの?」
身を乗り出して興味津々に俺を見つめてくる。
「それはな――」
「それは?」
俺の言葉に耳を傾け、息を詰めるのが手に取るようにわかった。
「内緒だ」
「ぇえ〜っ! なんだよ、それ!」
「お前だって、教えてくれなかったじゃねぇか」
多分、俺と願いは同じだと思うけど……。
――ずっと、側に居られますように――
咄嗟に思いついた願いがそれだった。
月の無い星明りの夜。
伝説の蛍とやらを寿也と拝めただけでも、幸せだと思わなきゃな。
未だにブーブー言っている寿也の手をギュッと握り締め、俺はもう一度幻想的な蛍の群れを見つめた。
*PREV END#
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