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触れ合うだけの口付けは恋人同士のそれより甘く、ドキドキした。
うっすらと目を開くと視界に寿也のアップがあって、羞恥で顔が焼けるように熱くなる。
「は、恥ずかしいから見るなよ!」
「照れる事無いじゃないか――あっ! あれ……」
「!?」
一点を指差し目を丸くする。
つられて視線を移したその先には――。
「今の、見た? 吾郎君」
「あぁ、ばっちり見ちまった」
普通の光より数倍明るい光を放ったソレは俺たちの前を二、三度旋回し、あっと言う間に消えてしまった。
あれが寿也の言う伝説の巨大蛍かはわからない。
だけど確かに不思議な光は存在していた
「願い事……言いそびれちゃった」
ポツリと残念そうに呟く寿也。
「俺は、ちゃんと願ったぜ」
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