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「思い出した! 俺のファーストキスの相手」
「だ、誰?」
あまり聞きたくないが、一応聞いてみることにする。
「寿だよ」
「え……僕!?」
意外な答えに寿也は目を丸くした。
「ほら、おとさん死んじまって引っ越すことになった時、お前が俺の口にキスしたじゃねぇか」
「……! そういえば、そんな気がする」
「またいつか会おうねって言ってたよな」
吾郎の言葉に、その時の状況をハッキリと思いだしホッと胸をなでおろす。
「よかったぁ。ファーストキスが違う人じゃなくって」
「あんだよってゆーか寿は、ガキの頃から手が早かったってことだよな」
「もう。その時から、君とはこういう風になる仲だって決まってたんだよ」
そう言ってちゅっと口付ける。
吾郎は少し恥ずかしそうにしながら俯いた。
「なぁ、もう一回。キスしようぜ」
「うん、いいよ」
二人で見つめ合いどちらかともなく目をつぶり口付けを交わす。
二人の夜はこうして更けてゆくのであった。
*PREV END#
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