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でも、ある時突然、吾郎君は来なくなった。

1週間たっても来なくって、僕はとてつもなく不安だった。

幼稚園でも、ずっと吾郎君のことばかり考えていて、嫌われたのかなって思って毎日すごく悲しかった。

僕は、吾郎君の家を知らなかったから、逢いたいけど逢えなくって……。

久しぶりに僕の前にやってきた吾郎君の顔に太陽のような笑顔は無くって、今にも泣きそうな顔だった。

「寿くん、ごめんね。おとさん死んじゃったから・・・隣町に引っ越さなきゃいけないんだ。」

吾郎君の言葉に愕然とした。

僕の前から、太陽がなくなっちゃう。

そんなこと、考えたくなかった。

僕が驚いたまま何も言えずにいると、急に吾郎君が抱きついてきた。

「ご、吾郎君!?」

「僕、イヤだよ。寿くんと離れるの」

大きな目にいっぱい涙を浮かべて、ジッと僕を見つめる。

僕だって離れたくないよ。

ギュッと僕とあまり変わらない小さな身体を抱きしめた。

吾郎君は声を押し殺して、僕の腕の中で泣いていた。

僕もなんだか悲しくなって、少しだけ涙が出た。

そしたら、吾郎君は驚いて顔を上げた。

「寿くん。泣かないで」

よしよしって、頭を撫でる吾郎君がなんだかとてもおかしかった。

ついさっきまで僕の腕の中で泣いてたくせにもう、忘れてるみたい。


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