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けれど大河にはあまり通用しないらしく、相変わらず訝しげな視線を送ってくる。
「僕に、その手は通用しませんよ、佐藤先輩」
大河も負けじと抵抗する。
彼らは1年間だけ横浜リトルで同じチームに居たことがあった。
だから、彼の脅しにはもはや慣れっこになっているのだ。
「随分生意気な口を利くようになったんだね、清水君」
「変質者まがいな行動をしてる、先輩に言われたくないっすよ」
フフフッとお互い一歩も譲らず、にらみ合いが続いた。
「誰が変質者だって?」
「佐藤先輩に決まってるじゃないですか。覗きは犯罪。そのくらい小学生でもわかりま
すよ」
「清水はよっぽど、地獄をみたいらしいね」
「へぇ、地獄なんてどうやって見れるんですか? 見せれるもんなら見せてくださいよ。だいたい、茂野先輩に会いたいなら、堂々と顔出せばいいじゃないですか」
「ダメだよ。見つからないように見なきゃ普段の彼がどういう生活をしているかわかんないだろ?」
「うわっ。やっぱり変態だ。それ、立派なストーカーですよ」
二人が、屋上の踊り場で暗雲を立ち込めながら、バトルをしているころ、さすがに大河がやってくるのが遅いと感じた吾郎が屋上のドアを開けた。
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