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「――あのぉ、なにやってんすか?」
「!」
いきなり声をかけられて、寿也は飛び上がらんばかりに驚いた。
振り返ると、大河が怪しいものを見るような目で(実際怪しいのだが)ジッと寿也を見ている。
「そこ、邪魔なんっすけど」
「えっ・・ああ、ごめん」
慌てて謝り、ドアから離れると、大河は首をかしげながら屋上へ出ようとして足を止めた。
「間違ってたら、悪いんっすけど……アンタ海堂の佐藤さんでしょ?」
「!」
「こんなとこで何やってんですか?」
冷ややかな視線を送られ、寿也は背中に冷たい汗が流れるのを感じていた。
「偵察しに来たわけでもなさそうだし。ひょっとして目的は彼ですか?」
大河はチラリと吾郎に視線を送った。
吾郎に自分がココにいることをばらされては困る!
そう思った寿也は、大河を羽交い絞めにして耳元で囁いた。
「僕がここにいたってコトは、絶対に誰にも話さないって約束してくれないかなぁ?」
それは、地を這うような低く恐ろしい声で、吾郎なら一発で有無を言わさず頷いてしまうような声だった。
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