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屋上ではもう既に他の部員たちが集まっていて、早速吾郎も練習に参加した。

今日は、キャッチャーの田代が休みなので、藤井が恋女房としてマスクをかぶっていた。

「なぁ、茂野。俺、さっきから殺気を感じてんだけど……」

藤井が真っ青な顔をして吾郎に耳打ちした。

その様子を、屋上のドアの隙間からこっそり覗いている男が一人。

(あの男、キャッチャーなんて。随分吾郎君に馴れ馴れしい)

帽子を目深にかぶり大きなサングラスをかけて、様子を伺う少年。

それは、寿也だった。

吾郎の様子が気になってこっそり遊びに来たのだが、彼がロッカー室へ入るのを目撃し生着替えが見れると思って影から覗いていたのだ。

吾郎の悪寒も藤井への殺気の原因も全て、彼。

寿也は鋭い目で、藤井の動向を観察していた。

(吾郎君に少しでも手ぇ出したら、速攻で生まれてきたことを後悔させてやる)

そんな事を考えながらドアに張り付くように見ていた。


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