4154/154


「なっ!? 酷いよ、吾郎君!」

聞き覚えのある声がして、振り向くとソコには寿也の姿が。

「僕というものがありながら、阿久津といちゃついいてるなんて。許せない!」

「んだよ。てめぇの方が先に浮気したんだろうが! この変態!!」

キッと睨み返してやると、すんげぇ形相で俺に迫ってくる。

「僕がいつ浮気したって?」

「今だって、泰造のおっさんとイイコトしてきたんだろ? 寄るんじゃねぇよ」

「「は?」」

泣きそうになるのをグッと堪えていると、阿久津と寿也の間の抜けた声が重なった。

「さ、佐藤……お前、そんな趣味が」

「そうなんだ。トレーニングルームであのおっさん喘いで……」

「ち、ちょっ、なに誤解してるんだ」

「なにを誤解してるってんだよ。俺は確かにこの耳で聞いたぜ! 世にも恐ろしい声を」

思い出しても背筋がゾクゾクするぜ。

「そんなもん、聞いたら、そりゃ泣きたくもなるよなぁ」

気の毒に、と阿久津が呟く。

「だから、誤解だって言ってるじゃないか!」

「なにがどう誤解なんだよ?」

俺がそう聞くと、寿也は盛大なため息をついた。

「僕と吾郎君の関係をこの間見ちゃったらしくって、口止め料の代わりに、1週間マッサージさせられてただけだよ……」

「……は?」

マッサージ!?

「だ、だって寿、いつも何処行くんだって聞いても教えてくれなかったじゃねぇか」

「教えたら話がややこしくなると思ったからさ。全く、僕が好きなのは誰なのか一番よく知ってるだろ?」

なぁんだ、そっか

「だよなぁ。お前がオカマに走るわけねぇよな」

「そうだよ。僕には吾郎君しか居ないんだから」

そっと肩を抱かれると、今までのもやもやが嘘みたいに晴れて行くのを感じた。


*PREV NEXT#

Bookmark


 

List Top

Menuへ戻る


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -