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「俺も夕べ眠れなかったんだぜ」
「ホント?」
「ほんとだって。こんな事で嘘ついてどうすんだよ」
「そっか、吾郎君も僕と同じ気持ちだったんだね」
「まぁな、でも俺はちゃーんと早起きしたけどな」
得意げに鼻を鳴らすと、寿也と視線が絡んだ。
互いにはにかんで笑い、空を見上げる。
いつしか雨は上がり辺りにはうっすらと明るい光が差し始めていた。
「これから、まだ時間ある?」
「当たり前じゃねぇか」
「じゃぁ、デートの仕切りなおししよっか。……あ!」
ハッと顔を上げた視線の先には大きな虹が掛かっていた。
キラキラと輝く虹を眺めながら二人は肩を並べて歩く。
スッキリと晴れたこの空のように晴れやかな表情を浮かべながら久々の二人っきりの時間を楽しんだのだった。
*PREV END#
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