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翌日は雨。
デートにしてはとてもベストコンディションとは言えないあいにくの天気だ。
しかし、そんな天気をもろともせずに吾郎は自転車を走らせた。
「やっべ、もう20分も遅刻じゃねぇか」
約束の時刻は当の昔にすぎており、一抹の不安が頭をよぎる。
もしかしたら、もう待っていないかもしれない。
息を切らせながらたどり着いた約束の場所。
そこには寿也はおろか、小さい子供一人居なかった。
「はは、だよなぁ……こんな雨の中二十分も待ってねぇよな」
吾郎はガックリと肩を落として、うなだれた。
今日こそは遅刻しないようにと、気合を入れて準備していたはずなのに。
出かける直前になって田代から電話が入らなければ……。
真吾が泣きださなければ間に合ったのかもしれないのに。
とりあえず寿也に詫びの電話を入れようとポケットに入っているはずの携帯電話を探た。
ところが――。
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