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一体どのくらいの時間話をしたのだろう。

今まで尽きることのなかった会話がぷっつりと途絶えた。

「寿?」

不安に思い声をかける。

「あのさ、吾郎君。明日、空いてる?」

今までの弾んだ声とは別のややトーンを下げた声に、ドキリとした。

「あ、空いてるけど、どうしたんだよ」

早まる鼓動を悟られぬよう必死に平常心を装いながら返事をする。

「逢いたい。明日、会えないかな」

携帯越しに聞こえるその声が、真剣身を帯びていて、さらに鼓動は早まった。

ただ、逢いたいと言われただけなのに携帯を当てた右耳が熱い。

その言葉の裏にどんな思いが込められているのか、それがわからないほど彼も子供ではなかった。

男同士と言うことを除けば、普通のどこにでもいるカップルとさほど変わらない関係なのだから。

幸い、明日はバイトの予定もなく、吾郎は二つ返事でOKした。


待ち合わせの時間は午前九時。

それまでは、当然まだまだ時間はあるし、普通なら眠っている時間のはずなのに、「逢いたい」と言われたその声が耳について離れない。

寿也はもう眠っているのだろうか。

何気ない彼の一言に一喜一憂している自分に気がつき苦笑する。

「アイツが変なこというから……意識しちまって眠れねぇじゃねぇか」

再び盛大なため息を吐きながら、吾郎は眠れぬ夜を過ごした。



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