海堂編

LoveSick


若手VS日本代表の試合は、観客が大勢詰め掛ける中始まった。

日本代表と対戦する緊張からか初回先発で登板した香取りはいきなり打線に掴まり5点を失う。

次に登板したのは阿久津だったが、彼もまたプレッシャーからか日本代表の勢いを止めることが出来ずにあえなく降板。とうとう吾郎の出番がやってきた。

練習したばかりのフォークで京四郎に勝負を挑むが、あっさりとバットに当てられてしまう。

もう、完全に見切られフォークを投げるのを諦めようとする吾郎に寿也はそれでもフォークを投げるように要求してきた。

次に、ボールなら押し出しになる。ワンアウト満塁で、打たれて点を取られるくらいなら、押し出しの一点のほうがマシだと寿也は考えたのだ。

しかし、吾郎は首を振り要求した球と違うストレートをぶつけてきた。

結果、打たれて記録はセンター前ヒット。

吾郎と寿也との間に険悪な雰囲気が漂い始める。

自分の構えとは違うところに投げる吾郎に苛立ちを感じ「もう勝手にすればいい」

と、半ば投げやりな気持ちになっていた寿也の心理を見透かしたのか、足の速い京四郎が盗塁を仕掛けてきた。

慌てて送球しようとしたが、寿也の投げた球は運の悪い事に吾郎の腰を直撃。

堪らず吾郎はマウンドにうずくまった。ドッと沸き起こる失笑の声。

「どこ投げてんだよてめぇーっ!」

「ごめん、ちょっと慌てて握りそこねて」

駆け寄った寿也に吾郎は激怒した。

「つーか寿、わざと俺にぶつけただろ!!」

「はぁ!?」

「俺が今日、腰が痛てーの知ってんだろ!」

「それとこれとは話しが別だって」

「おい! お前らいい加減にしろっ」

マウンド上で喧嘩を始めた二人を薬師寺が慌てて止めに入る。

薬師寺の助言もあって、冷静さを取り戻した寿也は持ち前のリードを発揮し、迎えるバッターは最強スラッガーの名高いメジャーリーガーの板尾。

吾郎は試合に出たことによって自分の実力が日本代表になるにはまだまだ早すぎたと実感し、ワールドカップへの夢は4年後に持ち越そうとこの時既に決意していた。

ワールドカップと言う夢を捨て、無欲になった吾郎は板尾のバットを三本も折って結局ライトフライを打ち上げられたが、その後の打者は全て押さえた。

結局、第一試は日本代表の勝利で幕を閉じた。


モドル/ススム




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